中学受験のパターンでよくある『記念受験』。
記念受験とは、合格の見込みが低い学校を記念に受験することです。
近所に〇〇中学(有名or人気校)があります。進学したら高校受験はしなくていいし、大学の推薦入試もあると聞きました。レベルが高く、うちの子の学力では到底無理だと思いますが、家も近いし、受験しようと思うのですが、どう思いますか?
ダメ元で受験してみて、不合格でもともと、合格したらラッキーじゃん、ということですね。
上記のような質問を小5・6年生の保護者から毎年何件か受けます。
答えは「絶対にやめておいた方がいい」一択です!!記念受験は絶対にオススメしません。
反対理由は、対策なし、もしくは対策が中途半端な状態で受験し、不合格の場合子どもが傷つき、自信を失うからです。
詳細を中学受験を約20年間指導し、累計1,000名以上の小学生を指導してきた現役学習塾運営者が記念受験のデメリットを紹介します。
記念受験のメリット
強いて言えば、合格すればラッキー
まずは考えられるメリットを紹介します。
記念受験の一番のメリットは、「合格すればラッキー」ということです。
記念受験をする目的が果たせた状態です。
しかし、中学受験に限らず、受験は合格することがゴールではなく、次の希望進路の実現に向けた第一歩です。
合格したはいいけど、子どもの学力と学校進度が合わずに苦労したり、
子どもの第一志望の学校ではない可能性が高く、通学できる喜びを感じられなかったり、進学後に起こるトラブルは多いです。
親御さんは子どもの将来のために良かれと思って受験を勧めたが、
お子様的には志望度が高くなかった場合、最悪親子の絆にヒビが入ってしまうことも考えれます。
進学後のイメージは、受験する全学校に対し家族(親子)で共有しておくことが良いでしょう。
記念受験をしようとする思考・パターン
まず、記念受験をオススメしない理由を説明する前に、記念受験しようと考える思考や多いパターンを説明していきます。
小学校の成績が良く、ワンチャンいけるかも。と思ってしまう
小学4年生頃になると本格的に子どもたちの学力に差が目に見えて分かるようになります。
小5・6年生になり、
①「うちの子、勉強できるかも!?」と気付いた親御さんが、
②「近くにあるレベルの高い大学までストレートでいける中学に受験してみてもいいのではないか。」と思い、いろいろ調べていくうちに、
③「レベル・人気が高そうだし、中学受験するなら小3・4から始めないといけないみたいだけど、この中学とても良さそうだし、不合格でも地元の公立中学に行けばいいし、今から塾に申し込んでみようかな」というような感じが多いです。
このように、記念受験を考える親御さんやお子さんは比較的に小学校内の学力は高めです。
そのため、自分は勉強ができると思っていたのに、より不合格だった場合のショックが大きいのです。
記念受験をオススメしない理由
では、本題の記念受験をオススメしない理由を紹介します。
合格の見込みが薄い
一番の理由はこの通り「合格の見込みが薄い」からです。
受験をするだけでお金がかかります。
・受験料(数千円~数万円)
・受験会場までの交通費(親子で行くのなら二人分)
お金だけでなく、体力や気力・精神力もだいぶ削られます。
合格に向けて一生懸命勉強をしているのであれば、受験にかかる金額・子どもの心のケア等、
時間やお金を惜しむ親御さんは少ないはずです。
合格の見込みが薄いのにも関わらず、わざわざお金をかけ、子どもに精神的負担をさせてまですることではないように思います。
対策が中途半端な受験は自信をなくすだけ
記念受験ということは、合格見込みが薄く、第一志望の中学校ではないということ。
対策を中途半端にしたか、もしくはほとんど手につけていない可能性が高いです。
中学受験のメリットについて書いたこの記事でも紹介した通り、
中学受験の一番とも言える醍醐味は努力の仕方、諦めない力、辛抱強さを学べることです。
合格するためにどの子も努力していますが「ここまで頑張ったぞ!!」という自信は、
受験結果がどうであれ一生の宝物となります。
また、受験に向けてやり切ったと思えている子ほど、例え不合格だった場合でも比較的早く吹っ切れ次の目標に向け前向きになっている場合が多いような気がします。
逆に不完全燃焼のお子さんは、不合格に落ち込み立ち直るまでにも時間がかかったり、
最悪の場合トラウマのようになってしまうこともあります。
大人が思う以上に「不合格」のレッテルは重い
大人の私たちは、受験で失敗し不合格になってしまっても、その後幾度となく挽回のチャンスが訪れることを経験上知っています。
中学受験(高校受験)で不合格だったけれど、悔しくて一生懸命勉強し大学受験で第一志望に合格した、というエピソードはそこら中にあります。
しかし、子どもは「不合格」が全てです。
合格見込みが高くても低くても、「不合格」は「不合格」です。
「合格できなかった自分は恥ずかしい・ダメな人間だ」など、本気で思ってしまいます。
一生懸命受験に向けて取り組んできた子には、掛ける言葉を見つけられますが、
そうでないお子さんにどんな言葉をかけても残念ながら響かないことが多いです。
親子ともに薄ら合格の可能性を感じてしまう
受験をしなければ合格の可能性は0%ですが、受験をすれば合格の可能性は0%ではなくなります。
受験をするために、願書を準備したり、受験の持ち物や当日の流れを確認したり準備をしているうちに
「もしかしたら受かるかも…!?」という淡い期待を抱いてしまうのです。
これは私も自身の大学受験のときに経験があります。
記念受験に近く合格の可能性は激低なのに「受かったら…」という妄想してしまいますよね。
そんな淡い期待は合格発表日に見事に砕かれ不合格。
前述の通り、大人(親御さん)は「あぁ~やっぱ無理だったか。」と思えることでも
子どもは「不合格」の事実を受け止め切れず自信を失い、中学以降の勉強にも影響が出てしまいます。
中学受験時、記念受験をした子の一例
ここで一つ、記念受験をして失敗してしまった子の一例を紹介していきます。
これは私が本業で塾運営をしている中で出会った一人の生徒のお話です。
小学校から周りと比べ成績が良かったA君。
近所に有名私立中学があり、A君のお母さんはとりあえず受験をさせてみようと思い、
小6の夏休みぐらいから大手中学受験専門塾に入塾。
塾の授業にはついていけず、記念受験もあえなく失敗。
地元の公立中に入学し、中2の終わりに私の運営する塾に入塾。
成績は悪くなく、地元の公立・私立の進学校の受験を勧めるも、
「落ちるのが怖い、授業についていけなくなったら嫌だ」と、なかなか決めきれず。
なんとか説得して地元の進学校の公立高校に合格。
大学受験も面倒みましたが、大学受験期も受験校でひと悶着、二悶着あり。
すごく簡潔に書きましたが、実力相当校の受験を決意するにも一苦労した記憶があります。
私が運営する小さな塾に入会したのも、中学受験時の大手進学塾での授業の難しさのトラウマがあったからだそうです。
小学6年生の小さな心に大きな傷を負い、その傷を背負ったまま高校受験・大学受験に臨みました。
真面目で勉強熱心な子でしたので、勉強は周りと比べると良くでき志も高い子でしたが
実際、受験を目の前にすると「落ちるかもしれない…」という恐怖が勝ち、なかなか一歩踏み出せませんでした。
周りの大人の協力があり、なんとか説得し実力相当の学校には進学できました。
その子はもうすでに社会人になり、一生懸命働いていることでしょう!
まとめ
以上が「中学受験をオススメしない理由」でした。
中学受験は、12歳の小さな子どもが体も心もまだ十分に成熟していない時期にしては
乗り越えるのが困難な壁になります。
大人も子供も成長しながら、中学受験に取り組んでいきたいです。